当社で取り扱っているDM(ダイレクトメール)のデザインでは、伝えたい情報量が多く、紙面に文字が多くなりがちです。私は、もともとデザインの仕事をスーパーマーケットのチラシからスタートしたこともあり、大量の文字を扱うデザインに長く携わってきました。

DMやチラシに限りませんが、デザインにおいて「情報伝達」「装飾」のどちらの意味でも文字の扱いは重要です。文字の読みやすさは情報の伝わりやすさであり、フォント選びや字間調整が少し違うだけで、紙面全体の雰囲気が変わってしまうこともあります。特にシンプルなデザインの場合は、文字が装飾的要素として目立つためより扱いに注意が必要です。

フォント選びもデザインする上で重要な要素にはなりますが、さらに文字処理として基礎的なところを挙げると、字間調整は必須です。デザインソフトIllustratorの操作では「カーニング」と「トラッキング」の処理がベースとなります。

〈カーニング〉
隣り合う文字と文字の間隔を個別で調整できる。一文字ずつ細かく調整ができるためタイトルなど短い文章の調整に便利。
〈トラッキング〉
選択した文章全体を一括で均等に調整できる。文字ボックスに入った文章や長めの本文などに便利。

そのほかにも禁則処理など、ソフト上で文字パネルの機能を各自で調整していくと、なんとなくいい感じに字間調整をしてくれます。
上記を調整した上でさらに、読みやすさ(=情報の伝わりやすさ)を考えて、場合によってはもうひと手間かけて、読み手が引っかかることなく文章を読めるように気を配ります。

☆括弧()「」などは少し細めのウエイトにする
括弧などは仮名などよりも少し太いことが多いため、そのまま使うと目立ってしまいがちです。そのため同じ書体でもウエイトを下げます。

☆促音は手動で大きさを調整する場合がある
「ッ」などの促音は、フォントによっては大きさの変化がわかりにくいものもあるため、手動でQ数に差をつけて調整します。

☆長体がかかりすぎる場合は若干Q数を下げてみる
長体とは「スペースの都合で文字が収まらない場合に、文字の横幅を狭く変形させる」ことですが、本来のフォントの形が崩れてしまうため、スペースに収まったとしても読みづらくなってしまう場合があります。その場合は文字のQ数を少し下げてみるのもアリ。文字を小さくした場合と長体をかけて細くした場合のどちらが読みやすいか検討します。

☆注意フォントを知っておく
手書き風フォントなど、もともとのバランスを崩して作られているものは、ソフトの自動調整だけではうまく字間調整ができず、読みづらいままになってしまう場合があるので、私が使用するときは調整にひと手間必要なことを覚悟して使っています。

自分が制作したデザイン以外でも日常のなかで調整された文字を見ると「ビューティフル…!」と思いますし、反対に字間などが調整されていない場合だと一気にクオリティが下がった気になり残念に思ってしまいます。

デザインというとカラーや飾り・パーツなどを思ってしまいがちですが、文字処理は流行に左右されない基本的で重要な作業です。デザインをより美しく、伝わりやすくするために、ぜひ文字の細かなところまで気をつけてみましょう。当社デザイナー間でも情報を共有し制作物のクオリティアップへ繋げていきたいと思います。