私は「ブレーン」という雑誌で楽しみにしている連載があります。それは「さまざまな質感を持つ竹尾さんのファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく」とじ込み企画です。

このブログでも「印刷媒体の物質性」や「加工」など紙媒体ならではの特徴に触れてきましたが、この企画を見ると、改めて紙モノの面白さとは「デザイン」×「用紙」×「印刷・加工」の組み合わせであると感じます。

今回使用された用紙は竹尾さんのアラベール-FS。実際に触ってみましたがナチュラルで優しい手触りの用紙で上品な印象を受けました。そこにブックジャケットのデザインをUVオフセット(UVランプで紫外線を照射することで瞬時にインキを硬化・乾燥させる印刷技術)、部分的にゴールドの箔押し(金や銀などの箔を加熱圧着して紙などに転写する加工技術)で印刷しています。
ナチュラルな白い用紙につややかな箔押しゴールドのコントラストが印象的で、お互いの特徴をより引き立てあっているように思えました。

ゴールドの箔押し加工を拡大したもの

チラシやフライヤーでも、わら半紙のようなザラザラした用紙に蛍光のインク、など様々な組み合わせを見かけます。用紙や印刷技術としての珍しさだけではなく、チョイス次第ではデザインという方法以外でも目立たせたい部分を強調できたり、与えたい印象を強めたりできます。

仕事をする中でコストを気にするのはもちろんですが、特別感を出したいとき、またパンフレットの表紙だけに使用するなど様々な使い方ができると思います。そのために我々デザイナーも最新の知識を共有し、デザインとともに提案できるようにありたいものです。