以前のブログで、あるデザイナーの方が説明されていた「デザインをする時に大切にしている6つの要素」に触れたのですが、その中のひとつに「審美性:手にした時に欲しいと思えるかどうか」がありました。いわゆる「美しい」などの外見的評価で、デザインという単語が出た時にまずイメージされる領域です。

私も見た目に美しい物は大好きです。美術館にもよく行きますし、なんの使用用途もないような小物を「キレイ」という理由だけで購入したりもします。しかし当たり前ですが、当社のような商業のグラフィックデザインやパッケージデザインは「顧客ベネフィット」や「問題解決」のためにデザインしているため「審美性」に囚われすぎると本来の目的を見失います。

例えば、キレイなパッケージのコスメに貼ってある「○○コスメサイト殿堂入り!」みたいなシール。このシールによって顧客へ商品への「安心感」「満足感」を与えています。シールデザインは店頭で浮きまくっていますが、もともとのパッケージデザインに馴染むおしゃれなものだと目立たなくて意味がなく、逆に「浮いている=目立つ」ほうが重要視されているからです。

ちなみに最初に出た「デザインをする時に大切にしている6つの要素」ですが、残りの4つは
●機能性:伝えたいことを伝えられている
●ストーリー性:どういう状況で利用しているか利用者が想像できる
●拡張性:様々な媒体で使用できる
●絶対性:そのテーマでしか表現できない固有のものである
です。
「○○性」の解釈は、お話されていたデザイナーの方の個人のものであるのですが、これだけでもデザインをする際にいろんな要素から見る必要があることがわかります。
当社の学校DM制作でいうと、「審美性:見た目が可愛く高校生向け」「機能性:訴求したいことがわかりやすい」「ストーリー性:オープンキャンパスに参加して楽しそうと思える」「拡張性:紙媒体以外でも活用できる」「絶対性:その学校ならではの内容になっている」ということでしょうか。

ネットの素材や無料デザインなど、プロでなくても簡単に見た目を整えることができる時代のため「審美性」のみの追求では継続して案件をご依頼いただくのは難しく、内容やターゲットを考慮しながら、他の要素にも気を配ることで付加価値のあるものを提供しなければと改めて感じました。