以前デザインの定額サービスについて2件ブログにてご紹介いただいたのですが、この「定額サービス(サブスクリプション)」という言葉、ここ数年でかなり多くのサービスで耳にするようになりました。
以前から生活に馴染みのあるところで言うと携帯電話の料金や電車やバスなどの定期券も含まれますが、最近テレビCMやネット広告でよく見聞きするのは以下の種類。

・音楽配信サービス(AppleMusic・Spotifyなど)
・映画、ドラマの配信サービスの見放題(Hulu・NetFlixなど)
・書籍や雑誌、漫画読み放題(Kindle Unlimited・dマガジンなど)
・ゲームのプレイし放題(PlayStation Now)
・ファッション関連の定額レンタル(Laxus・MECHAKARIなど)

他にも、コインランドリー、カフェ、カーレンタルなど定額サービスの業界は多岐にわたりますが、これほどまでに定額サービスが増え続けているのは、企業側と利用者側ともに下記のようなメリットがあるからだと考えられます。

〈企業側のメリット 一例〉
・定額のため実際の利用量に左右されず、継続的に一定の売上や利益が見込める
・利用者が増えるほど売上が上がる
・同じ商品やサービスを複数の利用者へ同時に、またはある一定期間ずつ提供できる

〈利用者のメリット 一例〉
・毎月一定の金額で一定のサービスが受けられる
・分かりやすいサービス感、安心感
・商品選択から決済までほぼすべてがスマホなどからWeb上で完結する手軽さ

また、デザイン定額サービスは条件が異なるので当てはまりませんが、上記で紹介したサービスに共通して言えることは利用者たちが「自分でモノを持たずに借りる」ということです。
以前はCDやDVD、書籍やコミック、ゲームソフト、衣服やアクセサリーなどを購入し自分のモノとして所有するのが一般的で、持っていること自体がステータスともいえましたが、近年は価値観が変化してきており、モノを所有せずにレンタルする・シェアするという「モノを持たない」文化が特に若年層に広がっています。
上記メリットと価値観の変化で、今回ご紹介したような「定額サービス」は、恐らく今後も様々な業界で増えるのではないかと感じました。

ちなみに、こういったサービスを利用する「モノを持たなくなった」世代は、まさに弊社のクライアントのターゲットでもある若年層でもあります。
モノを持たない価値観を業務上考慮しようとすると、デザイナーとしてはモノ自体の付加価値や審美性に目が行きがちですが、広告物を作る側として重視すべきなのは、従来ターゲットに対し有効だったオファーなど、プレゼント(モノ)では広告効果が期待できなくなる可能性だと思います。
今まで以上に体験できるコトやサービス自体のメリットをアピールするための工夫された企画やその見せ方などをきっちりと考えることが重要になってくるでしょう。
そのためにもターゲットの価値観の変化を常にチェックし、その立場になって想像することが必要だと改めて感じました。