「デザインのひきだし」という雑誌をご存知でしょうか。かなり前からある雑誌で、毎号、特殊な印刷・紙・デザインについての情報が掲載されています。特徴は、特集に合わせて凝りまくった加工が施された表紙と盛りだくさんのサンプルが付録として付いていることです。

欲しいサンプルがあったので、35号を久しぶりに購入しました。35号の特集は「紙の加工 徹底攻略ガイド」。その中から表紙で使用された加工を紹介します。

一見モノトーンの印刷のように見えますが、表紙は一切印刷していません
表紙すべてにレーザーカットが施されています
次のページの背景を透かしたデザインに仕上がります

これはレーザーカットという抜き加工を使用しています。
レーザーカットは“レーザー光線を使って紙を焼き切る”加工技術です。金属製の抜き型が要らないため、一枚からでもコスト高にならず加工できること、金属では難しい細かいカットができることが魅力です。今回の表紙は最新のレーザーカット機で非常に細かく格子状にカットすることで陰影を表現し、文字や絵柄をつくっています。
これまでの常識を覆すかのような細かさで新たな表現が可能となります。

私は加工至上主義ではありません。特に当社が手がけているDMなどは内容を見てもらってなんぼと思っています。

ただ、紙に加工を施すことで、例えば「印刷物とは平面だ」「印刷物は動きがない」といった固定概念を覆すこともでき、より驚きや印象深さを与えて紙や印刷物を楽しめると思います。
印刷や加工の技術はどんどん進化しています。
「必ず加工をしなければいけない」というわけではありませんが、紙媒体とはこういうものと決めつけず、いろんな選択肢があり、こう見せたいときはこれ、といったふうに知識を広げ自由自在に紙ものの提案ができることが大切と考えています。