以前、「けっきょく、よはく。」という本をご紹介しましたが
その続編になる「ほんとに、フォント。」という本が出ていましたので、先日ようやく購入してきました。

内容は、前回の流れを踏襲しながらも、特に「フォント」に特化してOKとNGの作例を交えながらデザインを紹介するもの。

近年、フォントの奥深さに注目したフォント特集の専門書や雑誌をよく見かけるようになりましたが、どのフォントをどういったレイアウトで使用すれば良いかなどを具体的に解説した書籍は少なく、フォント選びはいわゆるデザイナーの「センス」に任されていたと思います。

私たちデザイナーは、MORISAWA PASSPORTやフリーフォントなどを駆使することで、たくさんの選択肢の中からフォントを選べるようになりました。
これはデザイナーにとって「デザインの幅」が広がるため、良い環境でもありますが、多くのフォントを持っているデザイナーほど、その選択には自らの「センス」が試されます。

・個人の偏った好みや、思い込みでひどく狭まった選択肢から選んでいないか。
・ついつい使いたくなる装飾系のフォントばかりでごちゃごちゃしたイメージになっていないか。
・本当にそのフォントが、全体のイメージとあっているか。

上記のような日頃の業務で陥りやすい問題点について、書籍内ではあらゆる作例とコメントで改善策が紹介されていました。

デザインやレイアウトの条件に合ったフォントを選ぶことで、デザインがどう変わるのか。
Adobe FontまたはMORISAWA PASSPORTとフリーフォントを用いた作例は非常に身近で分かりやすく、各フォント名が明記された作例を見ながら、フォントの違いによる見た目の変化をひと目で確認することができるので、フォント選びのセンスを磨くための手助けになる書籍だと思いました。
字ヅメや目立たせる工夫、書体のパーツの説明など、改めて説明されると参考になる解説もたくさんありました。

私もおおまかにはフォントが与える印象を把握してはいますが、感覚的に選ぶこともしばしばあります。
普段のデザイン作業を振り返っても、ある程度決まった範囲の中からしかフォントを選んでいないのかも…と反省しました。
非常に多くのフォントを入れているにもかかわらず、まだそれらの良さを活かしきれていないのかもしれません。

また、装飾系のフォントは特に時代のイメージを纏ってしまう印象があるので、年号が新たになる今、今後のトレンドに一致するようなフォントも見極めていかなければ「これだから平成のデザイナーは~」なんて言われる日も来るのかも…。

フォントを選ぶ「センス」を磨くためにも、これからも多くのレイアウトやデザインを見ながら学び取っていこうと改めて思いました。