今年に入ってから私たち制作チームは数年ぶりに新人デザイナーの指導を行う機会を持ちました。そして私はそれと同じタイミングで数年ぶりに外部のデザイナーさんと仕事をする機会があり、新人や外部デザイナー、そして社内スタッフとやりとりをしていくうちに「デザイナーに必要な能力ってなんだろう」と改めて考えるようになりました。

デザイナーとして活躍するには、イラストレーターなどソフト操作や当社の業務であれば印刷知識などが必須ですが、これはいろんなところに説明書がある上、覚えた知識に個人差はありません。また、ある程度経験を積んでくると「手を動かす」以外に「頭を動かす」ことが多くなると思います。そんなときに必要な能力を振り返ってみました。

【課題解決能力】
「デザインとは課題解決」という言葉はよく耳にします。成果物でそれが達成されているかはデザイナーとしての評価基準でもあると思います。当社業務はDM案件が多いですが、提案や改善をする段階において「リバース・エンジニアリング」という手法を用いることも多いです。
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〈リバース・エンジニアリング〉DMを解析し仕組みや仕様、目的、構成部品、要素技術などを明らかにすること。
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現状のDMや競合他社のDMを分析することで、目的やターゲットが明確になり、クライアントの希望や傾向、逆にこうしたほうがいいという課題が見えやすくなると感じます。

【コミュニケーション能力】
例えば顧客打ち合わせでは相手の意図を理解する・読み取ることが大切です。また自分がデザインした成果物を人に説明したり資料にまとめたりすることもあります。社内スタッフ同士で必要な情報共有や意見交換などコミュニケーションの場はたくさんあります。

【客観視する能力】
デザイナーはアーティストではありませんので自分のやりたいように自由に、というわけにはいきません。自分と対象年齢や環境の異なるターゲットに向けてデザインすることも多いです。そのため「ターゲットはどう感じるだろう」と自分以外の目線で成果物をみることが良い結果につながるのではないかと思います。そのために「リサーチする」「人の意見を聞く」ことを怠ってはいけないな、と感じています。

【メンタルコントロール能力】
私が入社したときに、上司から同じような立場の先輩AさんとBさんの違いはなにか聞かれたことがあります。わからなかったのですが結論は気分や状況に振り回されるかどうか、でした。上司としてはコンスタントに一定の成果物をあげてもらいたいし、冷静に物事を判断してほしいということでしたが、煩悩の塊の自分にはなかなか難しく心を落ち着かせる方法を探すのに時間がかかってしまいました。

ここに書いた能力は、デザイナーだけに必要なものとは限りませんがデザイナーにも必要なものです。当社でより良い成果物を顧客へ提供できるよう新人デザイナーにもいずれ共有していきたいと思います。