労働時間が長いと得てして生産性があがるのでしょうか?
世界基準の調査結果は興味深いものでした。

●世界の労働時間 国別ランキング・推移(OECD調査)
https://www.globalnote.jp/post-14269.html

●世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF調査)
https://www.globalnote.jp/post-1339.html

2017年の労働時間ランキングではメキシコ、コスタリカ、韓国、ギリシャが上位国となりますが、
同年の1人当たり名目GDPランキングはそのメキシコが73位、コスタリカは63位、韓国は30位、ギリシャが43位と
必ずしも労働時間の長さがGDPとは比例していないことがわかります。

反対に名目GDPの上位国は、ルクセンブルク(労働時間=33位)、スイス(31位)、ノルウェー(36位)で、
同様に労働時間の長さがGDPの数値と比例していないことを表しています。
(※マカオは労働時間が算出されていため、比較調査対象外としています。)

我が国の数字はどうなっているのでしょうか。
経済規模が近い大国のドイツ(ドイツ=GDP4位、日本は3位)と比較してみました。
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■労働時間
日本  1,710時間(22位)
ドイツ 1,356時間(38位)

■1人当たり名目GDP
日本  38,440ドル(25位)
ドイツ 44,550ドル(19位)
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労働時間がドイツが短いのにも関わらず、1人当たりの名目GDPはドイツが上回っています。
ドイツは対ドルのユーロ安の恩恵を受けている点を考慮すべきかとは思いますが、
この結果から日本人に比べてドイツ人の単位時間の生産性が高いことがわかります。

日本では高度成長期からバブル期を経て、伝統的に残業が美徳とされるような企業風土が残っていますが、
ドイツでは労働時間を国の法律で制限されていて、就業時間内に仕事を終わらせる労働スタイルが確立されているそうです。
ドイツ人の労働者は残業をしない代わりの時間を余暇を楽しむ時間に費やしたり、自身のスキルを高める時間に充当しているといいます。

仕事の分量が多い時期では、長時間の労働を強いられることもありますが、
単位時間の生産性をあげるために日々努力していくとともに、
日常的な長時間の労働は結果として必ずしも生産性があがるものではない、ということも肝に銘じたいと思います。