先日、「がっかり観光地」について書いたネットニュースを目にしました。
がっかり観光地とは、旅行のWebサイトや旅行パンフレットではすごく素敵なのに、
実際に行ってみたら大したことなくてがっかりしてしまう観光地のこと。
シンガポールのマーライオンなどは現地で見ると「思ったより小さい…」と感じるらしくよく例に挙げられます。

しかし、観光地以外でも、広告効果を上げるために写真に補正・合成などの加工を行い、より綺麗に、より魅力的に見せるのはよくある手法。

・立ち並ぶビルに埋もれてしまっている建物や建造物 → インパクトを持たせるために青空背景へ合成
・実際は狭くて暗い部屋や教室 → 広角レンズで広く見えるよう撮影して明るく補正
・芸能人や女性の肌 → 明るく補正してシミやシワを無かったことに など

これらは、良く言えば「美しく魅力的に見せるための工夫」であり、デザインの過程では必要不可欠なので、全てが批判されるべきではありませんが、
ものによって行き過ぎてしまえば「騙して期待させる手法」にもなることを理解して作業するべきだと思います。

クライアントから支給された資料、原稿、写真を最大限に活用して、
「少しでもターゲットにいい印象を残したい」「商品やサービスの持つ魅力を伝えたい!」と発信側になって考えることが主だとは思いますが、受け取り側として「行きたい」「買いたい」「使ってみたい」など興味を持ってもらえる広告になっているかどうか考えることも大切ですし、自分がターゲットの気持ちになってみることで、一方的に人を騙すような表現になっていないかを考えることも出来ます。

事実と異なる誇大広告であまりにも広告内容と評判に落差があるものや、
嘘の情報での販売促進や競合を批判するものなどは後々の広告主自体の評価を下げてしまいます。
最近ではSNSを通じて実際の評価や口コミが広まりやすいため注意が必要だと思います。
良識の範囲内で商品やサービスを最大限アピールしたいものです。

反対に、「もっとよく見せるレイアウトがあったのでは…」と反省することも。
先月デザインした海遊館の特集記事にまんまと触発され、小学生ぶりに海遊館へ行ってきました。自分が行きたくなった記事という意味では成功なのですが、リニューアルしたクラゲコーナー「海月銀河」のメイン展示であるミズクラゲの水槽が、自分でデザインした紙面で受け取るイメージよりも遥かに見応えのある実物だったので少し凹みました。
どれだけ魅力的なものでも、そのままの写真では充分に伝わらないものもあり、やはり魅力的に見せるための工夫が必要です。
非デザイナーでもアプリなどで容易に写真加工ができる現代だからこそ、デザイナーの立場から「写真補正・加工でより魅力的に見せる」ということについてどう扱うべきか、もう一度考えてみようと思います。