私は以前、主に関西に事業を中心としたドラッグストアに勤務していました。
そこでは化粧品・トイレタリー(シャンプー/オーラル製品などの総称)部門を約2年、医薬品部門を半年、生活雑貨部門を約2年を任されました。

そこでの最低限のスキルは 手書きのPOPを描けるようになること、これが必須でした。
ドラッグストアの店舗において多種多様の商品を並べるだけでは、どうしても無機質な印象を与えてしまうからです。
手書きによるPOPの一般的なものは字体がやや丸みを帯びたかわいらしい文字を使い、キャッチコピーは「殺し文句」(言葉は非常に乱暴ではありますが)と呼称され、
ドラッグストアにおける商品の喧伝には非常に有効な手法であり、売上高にも大いに関わる重要な業務だと当時の上長より教えられました。

入社後1年ほどは丸みを帯びた文字を描くことに苦労し、当時は化粧品部門を担当していたのにも関わらず私の描いたPOPは全く使い物にはなりませんでしたが、
徐々にはコツをつかみ始め、私の描いた手書きのPOPは店頭に並び始めました。

この過程で他店の従業員が描いたPOPを研究する目的で他店舗を観察し、上手なPOPと売上や集客との相関関係をチェックしていたのですが、
POPを上手く展開している店舗では、商品の性質や属性に応じた陳列方法など工夫もなされていることにも気づきました。

医薬品においては薬事法に抵触しない範囲で的確で洗練されたキャッチコピーが使用され、
10代~30代の女性をターゲットとしたメイクなどを中心とした化粧品では、POPや装飾でとにかく煌びやかな印象を与えるようにし、
40代以降の女性対象の美白・シミなどを対象とした化粧品ではトーンをより抑え、より落ち着いた表現で展開しているなど、商品の属性に応じた販促表現の工夫がなされていました。
これらのPOPを中心とした販促の成果は、察して然るべきですが売上高という明確な形で顕著に現れていたように思います。

チラシやDM・Webサイト制作に関わる我々の業務ではこれらの事は全く基本的なことはありますが、
自社の事業のPRや取引先の利益に資するためにもDMや販促物、Webサイトを目にするターゲットを意識し制作につなげていかねばなりません。