先日、株式会社竹尾のペーパーショウに行きました。「precision / 精度」をテーマに掲げた、新しいファインペーパーのあり方をクリエイターとコラボしながら提案するという展示会です。(ファインペーパー: 独特のテクスチャーや豊富な色数等、紙そのものが持つ魅力を最大限に活かすように造られた紙)
前回から4年ぶりの開催だったのですが、今回から来場にスマホを使用した事前登録制を導入するなどスムーズに展示を見れるようになっていました。実用化されるか?ということは別としても「紙でどこまでできるのか」という可能性を提示し、またクリエイターやメーカーにとってもノウハウや技術を蓄積する展示会であったと思います。

展示されていた作品も参考になりましたが、それ以外で私が印象に残ったのは以下のふたつです。
●会場では全9作品のひとつずつに竹尾の社員の方がひとりずつ付いて作品説明をしてくれます。また、ある作品では制作したクリエイターの方が来ておられ、自ら作品説明をされていました。クリエイターの方の説明はもちろん楽しくわかりやすく聞くことができましたが、制作者ではない社員の方の説明もとてもわかりやすく、おかげで興味をもって作品を見ることができました。さらに社員の方は頻繁に持ち場を入れ替わります。つまり全員がすべての作品を説明できるのです。
この「年齢も知識もバラバラの来場者にわかりやすく情報を伝える」ということを、社員の方たち皆さんが同じレベルでされていることにとても好感を持ちました。クリエイターの方だけでなく全員が同じ意識を持つことで展示会のクオリティが上がり、作品の印象もよくなると改めて感じました。

●展示を見終わった最後、出口付近に現在竹尾さんで販売している用紙が積まれた倉庫のようなスペースがあります。いろんな種類の紙が所狭しと積まれていますが、それぞれ全てを好きな大きさに破って持って帰ることができます。
見ているだけのときは「きれいな紙」なのですが、破ったとたんに「素材」になり、手触りや断面など紙の特性をより楽しむことができます。他の来場者の方も「分厚くて破れへん」などと言いながら紙の物質性を楽しんでいました。また、実際に触って破ることができたからこそ私の中にも印象深く残り、素敵なお土産となりました。

展示会や展覧会は行くだけでも楽しいですが、自分が興味を持った部分を追求し少しでも知識として蓄積できれば、より有意義なものになると感じました。