私たちデザイナーは、日頃から色の与える印象について考えながらデザインを行っていますが、ノンデザイナーの方でも「勉強部屋や仕事部屋には青いカーテンが良い」ということなどは耳に挟んだことがあるのではないでしょうか。
これは風水的なものだけではなく、青色には鎮静作用があるため落ち着いて作業ができると言われているからです。
青い色は食欲減退の効果があるため、反対にダイニングの家具などでは避けたほうが良いカラーになります。

色が与える影響は様々で、私も先述したもの以外にもよく耳にすることはあるのですが、その中でも珍しく面白いと感じた記事を見つけました。

その記事によると、学校のトイレの壁面の色を塗り替えたら「においが軽減」されたというのです。
これは、「色彩が心理に及ぼす影響」を研究する大手前大学(兵庫県西宮市)の山下真知子教授が発表した実験の成果で、「くさい」「汚い」といった印象の強い学校のトイレの壁の色を、従来のベージュ色から鮮やかな緑や青・赤などに塗り替えて、児童・生徒約6800人に「第一印象」「暖かさ・涼しさ」「においの軽減」など7項目でアンケート調査をしたものです。

結果、第一印象や寒暖の印象などは予想がつきますが、最も興味深い結果が出たのは「においの軽減」でした。
赤系で17~25%、青系で13~23%、緑系で16~33%の児童・生徒が「においが軽減された」と回答。どの色の系統も、最も濃い色で塗られた場合に、効果を感じた割合が一番多かったそうです。さらに、明るい色に塗り替えたことで「トイレに行きやすくなった」との意見もあるそうで、この実験の結果は塗料メーカーなどから問い合わせが寄せられ注目されています。

爽やかな印象を与えるカラーといえば青系や緑系のイメージがありましたが、赤系でも17?25%の結果が出ていることはとても興味深いです。
ただ、トイレの壁面が赤の濃い色だと、別の影響として「食欲増進」「血流増加」「興奮作用」「時間の流れを長く感じる」などもあるので落ち着いて用を足せるかどうか…実用は慎重に検討したほうが良さそうですね。

日常的にありとあらゆる場面で目にする色について、どうしてこの色が使用されているのかなどを考えたり、改めて与える影響について調べてみるのも面白そうです。