先日、奈良国立博物館で行われていた正倉院展を見に行ってきました。

私はここ4~5年、毎年見に行っているのですが、展示内容もさることながら職業柄どうしてもポスターのデザインにいつも目がいってしまいます。
この正倉院展は奈良の秋の風物詩とも言われ、今年で70回を迎えるほど長く開催されており、古くから保管されている様々な宝物を展示公開するもので、展示内容もいかにもかっちりとした格式張った展示会なのですが、ポスターは毎年様々な趣向で制作されています。
毎年の定番の展示会なのに、毎年全く違う印象を与えてくるので「今年の目玉展示は何かな」と同じくらい「今年のデザインはどんなのかな」と個人的に楽しみにしてしまうほどです。

ざっくりと「正倉院展 ポスター」でGoogleの画像検索すると、ここ数年のものがずらずらと並んで見れます。

毎年変更される目玉となる展示物をメインモチーフに、フォントや見せ方を変更しつつ、カラーも毎回全く異なるというのは、もし同じ制作会社がデザインしているとするならば、デザイナー目線からすると非常に手間のかかる作業だと思います。
正倉院展という文字の入れ方一つにしても、すべてがメインモチーフとなる宝物が一番引き立つようにと考えられた結果のデザインです。
もちろんその展示が行われる年の流行りなども含め、時代の流れなども反映されていますし、様々な人に見に来て欲しいという主催者側の工夫でもあり、非常に興味深い一覧になります。
(とはいえ、毎年行ってチラシを持って帰宅するのに正倉院展はまとめておらず、私の頭のなかだけでの記録となっているので、きちんとファイリングしておけばよかったなあと反省しました。)

こういった一つの同じ対象に注目したデザインの移り変わりは、一覧で見るととても興味深い資料になります。
弊社でも、各鉄道会社の発行しているフリーペーパーなど、一年分にはなりますが毎月発行分をまとめて保管していますし、担当している制作物も、まとめてファイリングすることで過去のデザインや資料も見返しやすくなります。
その時々の流行りを反映しながら、ずっと魅力的で新しいデザインを制作できるように、日頃のインプットが改めて大切だと感じました。