先日のブログで、改めて特殊印刷の奥深さに改めて感心していた私ですが、
6/16~17に博労町で行われていた活版WESTというイベントを教えてもらったので行ってきました。

「活版WEST」は活版印刷の世界を多くの人に知ってもらうため2017年から開催されている西日本最大級の活版印刷イベントのようです。
出展者は近畿、四国、中国、九州など西日本の各地から集った活版印刷に携わる方々。
活版印刷を使用した雑貨などの商品が販売されているだけでなく、活版印刷を体験できるワークショップやトークイベント、古道具の販売なども行われていました。
サンエイから徒歩圏内とはいえ会場周辺の土地勘があまりなかったのですが、遠くから見ても「そこだ!」と分かるくらい多くの方が来場しており、会場は私が想像していた以上の賑わい。
私のような印刷物好きのデザイナー以外でも、多くの方が活版印刷に興味を持っているようです。


イベントのチラシ(黒字の部分に活版印刷が使用されている)

多くの人を惹きつけている活版印刷の良さは、やはりその独特の風合いにあります。
活字(金属や木で作られた文字の版)を組み合わせて印刷する「活版」を使用した印刷以外にも、近年では樹脂版や金属版などの「凸版」を使用した印刷のことを総称して活版印刷と解釈するのだとか。
その凸版を紙に押し付けて印刷する際に生じる凹凸が目視だけでなく手触りとしても分かるため、どこか懐かしいレトロなイメージも。
廃れつつあった古くからの印刷技法ですが、それらの特徴が改めて魅力的だと注目されているのです。
手間や技術を必要としているという事実を知らずとも、触れて分かる凹凸から人の手で作られているというぬくもりを感じさせるところが好まれているのでしょう。
こだわりの名刺やアンティークな雰囲気のポストカード、ギフトアイテムなどでの使用が多いというのも納得です。

今や各家庭でもインクジェットプリンターが普及していますし、ネットから印刷物の発注も手軽にできるようになっています。
だからこそ、私たち制作会社やデザイナーに依頼する印刷物には「差別化」や「特別感」を希望するクライアントも多くいらっしゃいます。

グラフィックデザインだけで演出する特別感も良いですが、平面的なデジタルや通常のオフセット印刷にはないような「視覚と触覚で感じることができる」特別な印刷物を作りたいなら「活版印刷」も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。