以前、街の大型雑貨店で普段目にしないサイズの印刷物が置いてありました。
GO Journal(ゴー ジャーナル)というフリー冊子で、サイズはA3タブロイドで48ページとボリュームがあります。
用紙も厚手のしっかりしたものを使用しておりフリー冊子とは思えない豪華さです。
手掛けているのは有名なクリエイティブ・ディレクターの蜷川実花さん。

詳しく調べるとパラスポーツ・パラアスリート(広く障がい者スポーツを表す言葉)に特化した冊子で、そこで活躍している人にフォーカスした特集になっています。また、A3という冊子の大きさを活かしてアスリートの写真を大きく掲載しており、とても見応えがあります。大きなサイズだからこそ写真の迫力が伝わってきて、この冊子はこの大きさでよいのだと思わされます。

しかし内容は素晴らしいものの、このA3タブロイドというサイズがネックとなり持ち帰る事に戸惑いが生まれます。
持ち帰る事を諦めようとしましたが、冊子が置いてある横に持ち帰り用に冊子がちょうど入るサイズの袋がおいてありました。
いくら内容に興味があっても、大きいサイズではカバンに入らない=持ち帰りにくい、ということを見越して用意されていたのです。

街に置いているフリー冊子などは、持ち帰ってもらうことを前提に、カバンに入りやすいサイズや、折り曲げることができる薄めの用紙で制作されることが多いです。

しかし今回の、
大きいサイズ=〝持ち帰ってもらえないのでサイズを小さくしよう〟ではなく、
どうすれば持ち帰ってもらえる=〝袋があればいいのでは〟

というちょっとした発想ですが、私は考えもつきませんでした。

DMでも開封率をあげるために、本来の広告を掲載した紙以外に別の商品も一緒に封筒に入れておいて、届いた側に〝何がはいっているんだろう〟と興味を持たせて開けてもらう、という手法があります。

私たちデザイナーは冊子やDMの制作をしていますが、その制作はもちろん作って終わり、ではありません。作ったものを見てもらう、読んでもらうところからが始まりです。たくさんの人に見てもらう、そのためにどうすればよいのか?という、ちょっとしたプラスαのアイデアが効果的に働く、という事を気付かされた冊子でした。