先日、パッケージデザインや商品企画を行っているデザイナーの友人と久しぶりに出かけた時に某大型生活雑貨店に入ったのですが、いつの間にか店に並ぶパッケージを見ながら2人でその売り場のデザイン分析が始まっていました。

通常、雑貨店に入ったなら「カワイイ」「便利そう」「欲しい」などの会話が多いかと思いますが、デザイナー同士でそういった店舗に入ると、つい「これ目立つね」「この見せ方今っぽい」「このPOP良いなあ」などの意見交換が始まり、「シリーズ展開で見せ方が上手い」「競合同士が似すぎ」などの企画面、「このパッケージお金かかってる!」「この撮影めっちゃ大変そう」などの単価やコスト面、挙げ句の果てには店舗での商材や商品の扱われ方など…あらゆることが気になってしまうもの。(多分デザイナーあるある)

息抜きに全く仕事から離れるのも大切ですが、職業柄何かしらデザインのことを考えているのも最早癖のようなもので、デザイナーとして新人の頃に別業界で培った市場リサーチの癖が今も続いています。

こういったデザインのリサーチ先は様々。なぜなら私たちの生活には様々なデザインが溢れているからです。

私は、自分がよく扱うフライヤーやDM・カタログ・ポスターなどの印刷物だけでなく、業種の違う食品や雑貨のパッケージを参考にすることもありますし、スマホやパソコンで見るWebやテレビのCF、番組のロゴなんかも実は気になっていたりします。

もちろん日常では、ほとんどが「このデザイン好きだな」「これはダサいな」など単純な感想を抱くぐらいで、毎日全てのデザインに対して深く分析しているわけではありません。でも気になったデザインは、時間が許せばじっくり分析しながらチェックして、発見したことや気になったことを覚えておくことで、自分のデザインに反映できることもあります。

ではリサーチしたデザインをどう分析すると役に立つアイデアになるのでしょうか。
私の場合は、主に下記の2つをチェックします。

1)直感的に「カワイイ」「かっこいい」または「ダサい」「古い」など

ポジティブ・ネガティブ問わずに自分がそう感じた理由はどこにあるのかを探る。

全体の配色?ロゴのフォント?写真?イラスト?色のトーン?レイアウト?など…
デザインの見た目だけでも様々な分析が可能です。

2)次に、デザインから読み取れる、そのデザインの元となる背景を想像してみる

ターゲット層はどの辺り?キャッチコピーは的確?展開のシーズンは?
コストの予想は?商品やサービスなどの金額との関係性は?など…

2はあくまでも正解はわからない場合が多いため想像ではありますが、そこから企画などで役に立つ新しい発見があることも。時間がなければ1だけでも勉強にはなりますが、余裕があれば2まで想像してみたいところ。

こうして一つのデザインを様々な角度から考えていると、直感的な感想が個人的感情に左右された意見なのか、多くの人が抱く意見なのか、冷静に分析することもできると思います。また、客観的な目線を養うには、同じデザインに対して他の人の意見を聞いてみるのも大切です。

先日は、同じデザイナーではあるものの業界も業種も異なる会社で働いている友人だったので、私と同じ意見もあれば違う目線からの意見もあって非常に勉強になりました。

デザインのアイデアのためにも、自作のデザインを振り返るだけではなく、前述のとおり、他の人が作ったデザインや世の中にあふれるありとあらゆるデザインをちょっとだけ立ち止まって分析してみてはいかがでしょうか。

何かのタイミングで「そういえばあの時…」と思い出せることもあると思います。